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心技体を整えるプロセスとは? アスリートがマインドフルネスメディテーションを実践する理由

最近、日本でもマインドフルネスはメディアの流行語となっています。


実は、2014年1月のタイム誌の表紙に「マインドフル革命(Mindful Revolution)として紹介されたことから、多くの企業、著名人やアスリートらが実践し始めたと言われていますが、スポーツ心理学の世界では、1985年頃オリンピックのボート競技の選手を対象に検証した時から、メンタルトレーニング戦略の1つとして注目し始めたと思われます。


私がスポーツ心理学をアメリカの大学院で勉強し始めたのが2019年頃。普通にマインドフルネス・メディテーションが教科書に紹介されていました。


アスリートの為の伝統的なメンタルトレーニングは、パフォーマンスを最適化するためにネガティブなイメージを修正・停止することが必要という前提がベースになっています。しかし、ネガティブなイメージを修正・停止しようとすると、皮肉にもそのネガティブなイメージに執着してしまい、そのイメージが繰り返し湧きあがり、パフォーマンスに影響が出てくるという結果になる場合があります。


ネガティブなイメージをコントロールする・排除するのではなく、様々なイメージや感情を評価判断しないで、「今ここ」に意識をおけるスキルを身に着けるほうがアスリートにとってメリットが大きいということが様々な研究で分かってきたのです。


このパラダイムシフトがアスリートのパフォーマンスの最適化にマインドフルネスを介入させるという現在のスポーツ心理学の動きを作ったと言われています。


様々なマインドフルネス・メディテーションがありますが、スポーツパフォーマンスの向上に対するマインドフルネスのアプローチの根底にあるのは、仏教哲学由来のマインドフルネスと言われています。


仏教哲学由来のマインドフルネスとは、様々な事象・感情に対して評価判断しないで、「意識をひとところに置く」「全ての動作・所作に意識を行きわたせる」「今ここにいる」こと。 そして、「しなやかな心で、今この瞬間に起きている様々なことをありのままに気づく」ことを意味します。 


私たちの脳は、考えることを止めることができません。そして、ハーバードスタディーによれば、起きている46.9%の時間、マインドの世界に私たちはいるそうです。つまり、マインドフルな状態で素振りをしたり、筋トレをしたり、ご飯を食べたり、歯を磨いたりしていない可能性があるのです。また、試合中にミスをしたら、「切り替える」ことが難しいのも、マインドフルな状態でないからです。


アスリートにとって重要なのは、ちょうといいタイミングで最適なパフォーマンスをすること。これは、自然体で臨むことだと思います。しかし、ちょっとした感情に、筋肉は反応します。何が起きようと、どのような状況でも、過去の経験に振り回されないで、今この瞬間にいることができれば、自然体で臨むことができると思います。


マインドフルネスメディテーションを実践することで、最適なパフォーマンスができるようになると確約できるものではないのですが、マインドフルネスメディテーションを実践することで、しなやかな心を育み、今この瞬間に起きている様々なことをありのままに気づくことができるようになっていきます。このプロセスが心技体を整えるプロセスだと思っています。


参考文献 Mindfulness and Performance (2016) Cambridge University Press (P 153-185)

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